TVアニメシリーズ『月がきれい』放送5周年記念上映会

感想

9/10(土) 2002〜
トークセッション
下手より小原好美(水野茜役)、岸誠二(監督)、柿原優子(シリーズ構成・脚本)、南健(プロデューサー)

◆ゲスト登壇前トーク 司会:しんどうはるか
5周年の年でしたがオフィシャルで特に動きがなかったのでこれはイベントやるしかないなと!
(登壇、着席)
南:月がきれいを毎週観ていた人、今日はトークのみ来た人(たぶんいない?)、月がきれいをオンエア以来に見た人(ちらほら)、円盤を持っている人、配信で見た人


◆5周年を迎えどうですか?
岸:5年も経ったのか…5年経つと中学卒業の子が20歳…でも今のこんな状況になるなんて思わなかったよね。アニメでもマスクしてたっけ(笑)
こ:月がきれいは何よりも声の仕事を始めて初めて受かった作品です。最近は初々しいものはなくなっめいきそうになるので悩んだ時に、年1で見ています。5年経っても新たに好きですと言ってくれる方がいるのはありがたいことですね。
司:9/10中秋の名月ということで今回のイベントを狙ってやった…ということにしておいてください。

◆月がきれいの企画の経緯
南:当時アニメプロデューサーだったので、次々と作品を作らなきゃいけなかった。当時は蒼き鋼のアルペジオを岸監督とやってヒットした状況だったので「今なら好きなのを、岸さんが普段振られないような無理めのをお願いして困らせてやろうかと(笑)」
岸監督とは最初が天体戦士サンレッドとか何か面白いことをさせると面白くしてくれる人。そんな人と青臭いロマンスを作ってみようと。
岸:今はなき練馬のアンデスでモーニングを頼み打ち合わせしてましたね(笑)結果的には本作は「岸がきれい」と呼ばれたり(笑)
南:ロマンスをやろうと思ったのはflying dogさんが割と音楽の方に力を入れているところで、アニメ自体を作る成功のネタやパワーが少し不足していた。本作の前には「僕等がいた」「君に届け」「月刊少女野崎くん」等ひねった作品がウケていたけど、そのひねった部分を抜いて作りたいと考えていた。ひとつだけ決めていた設定は「中学生の恋愛」。高校はセクシャルな面で放送に載せづらい所が出てきたりして、そう言うところで目立ちたいわけじゃなかった。
岸:え?自分的にはどんな題材でもやるけど(笑)
そんな作品の構成をオヤジ2人では絶対に無理だった(笑)ので、知っている女性ライターで書いてもらえそうな柿原さんにお願いした。
柿原:岸さんからは「恋愛ものやりたいんだよね」と言われ『何言ってるんだろう』と思いましたよ(笑)打ち合わせはまずは昔の恋愛のさらけあいから始まって。
南:盛り上がるけど終わり頃はズタボロ…そんな自傷行為で生まれたアニメが月がきれい

◆キャスティングで重視したこと
岸:小原さんはキャスティングはどうしてこうなったと思う?
こ:ええ!?私は初めて受かったので…?
岸:制作サイドは意思疎通がとれるメンバーを揃えたので、キャストに対しては中学生日記のようなものをやってほしいと思いあまり声優経験のないキャスティングをして年齢の初々しさを狙った。なので主役の2人(小太郎、茜)から決定した。以降もお芝居の声や年齢感からキャスティングした。
ベテランの方が若々しい声を演じるのと、初々しいけど実力のある若手の声を比べるとやっぱり全然違うんですよ。(ベテランの方の無駄のない洗練された声が悪いわけではなく、今回の作品では浮いてしまうような内容)
なので、基本的にはオーディションをしました。
岸:あ、でも、永遠のお姉さんもといお母さんだけは17歳でした (井上喜久子さんのこと) [会場笑]
・茜のキャスティングについて
岸:小原さんの茜については迷った記憶がないんですよ。オーディションはテープオーディションとスタジオオーディションをやって、スタジオではだいたい頭では決まっていた。テープは声優さん自身で解釈して吹き込んだ声なので、小原さんのテープも自分の考えが強かった。なので、スタジオでこちらからのディレクションをした上での声を確認するためにスタジオオーディションをした。小原さんは実際どうだった?
こ:女子は茜と千夏をやったんですよ。テープは茜を送り、スタジオの最初は千夏をやりました。でも千夏は自分の中では元気な千夏の演技にしっくりこなくって。スタジオでは音響監督の飯田さんのディレクションをもらっていましたけど、その時に現場の声が凄く大きくて…!飯田さんが「そのままでいきましょ」の裏で岸監督が「ははっ!」と笑っていていいの!?これで…?とドギマギしていました。スタジオオーディションで進んだのもその時が初めてだったので。
岸:ゴメンw もしダメな時は黙っているだろうなw
こ:合格した時は純粋に嬉しかったですし、当時まだ声の技術を身につけていない自分の演技でも『これでいいんだ』と思えるようになりました。
岸:でもそうなると、俺が最初に小原さんを見出したようなものだね(笑)
こ:でも実際そうですよ!私が世に出たのは月がきれいが初だったので、その後も声のお仕事の現場で色んな人から小原さんはどんな作品に出たことがあるの?とまだ私のことを知らない方から尋ねられた時に月がきれいと答えると「!…やっぱり岸さん流石だなぁ」とよく言われてました。
南:え?お前(岸さん)の手柄になってんのw音響監督の飯田さんのおかげだよねw (ステージで大笑い)
岸:今思えば歌もあればよかったよね。なぜかアイドルユニットとかw

◆プレスコによる収録について
司:プレスコではやはり当初のプランから変わってくるものなんですか?
岸:よく変わってくるし細かい調整が必要になるので大変だよ。でもそのためのプレスコだからね。
南:コンテまで切って大体の尺にはしたね。でも今のアニメのやり方がプレスコみたいなものだし、本作では録っていこうぜみたいな積極的なプレスコだった!
岸:やっぱり演技で変わることが前提。3秒と予測してた所が演技をしてもらうと10秒だったり。特に『千夏の泣きの場面』が凄い良かったんだよね。泣きの所もオッサンが測った時間だったから仕方がなんだけどねw
司:河原での泣きの芝居も大変ですよね。
こ:大変でしたけど、ありがたかったのは声は普段は明瞭な形式を求められるのに「噛んだら噛んだでそれもまたお芝居なんだ」と後押ししてくださって。お陰でプレッシャーに感じませんでした。泣きの場面は8カットぐらい進んでもまだ泣きの演技が終わっていなくって…6?8回ぐらいはやり直ししています。そのうち「どここれ?走ってるとこ?…泣けない…」とスランプに陥ったり。それで『1回止めて切り替えしましょうね』と。
岸:あったねぇそんなことも。
こ:でも、本当の泣きはきれいじゃなくてぐちゃっと生々しいものですからね。私が思ったのは「(泣いて走る茜を小太郎が)追いかけてこないの!?!?」
岸:それもまたリアルな中学生だよね。追いかけて欲しいけど男子中学生なんてどうしたら…ってなっちゃうだろうし…

◆柿原さんへ濃いキャラクター(俺様系、ラブホ代ねだる男子、中性的なろまん等)がどうして生まれたか?
柿:練馬のアンデスでの話し合いの時に2人とズレがあって…男性と女性の違いなのか。
南:茜と小太郎の2人だけの恋愛模様だと1クールもたないと思いたくさんのキャラを作ってもらった。だけどいつの間にか2人だけで1クール分収まってしまい、結果、尺のある時にショートーストーリーとして入れ込むことになった。元々ストーリに入れられるような設定だったのをきゅっと圧縮したので凄く濃い小ネタばかりになった。「お前ら中学時代に何やってんの!」って具合に。
柿:中学生の記憶から大分離れていたので今どきに出来るか不安で友人の娘に聞いたりしました。
南:そうそう。「ファミレスおごるから友達連れてこいよ」ってね(笑)そしたら娘たちから「飯食わして何させるのよ!」と言われ(苦笑)。実際はマイクをファミレスのテーブルに設置したり、しゃべっている時の動きや生々しい動きを録りたくて。
柿:発言が危ないwなので、私の所に来てもらって聞き取りをしました。でもそれが結構参考になって、例えばちょっと話がつまらない時にはスマホを触ったりする仕草とか。あとは、茜のお姉ちゃんへのスマホイタズラのスクショ連写とかもそこで参考になった!
こ:当時中3だと、うちの弟もそうでしたね。今弟は20歳になって…
岸:弟はちゃんと恋愛してるの?でも話してくれないか
こ:弟はなんでもちゃんと話してくれますよ!でも…弟が幸せなら私は何でもいいですよ、この話広がらないからこれでおしまーい!

◆電気の紐のシャドーボクシング
岸:実際、紐を敵だと思ったことのある人 ノここちゃんもノ
女子でもやったことのある人 ここちゃんノ
こ:今は紐のタイプはないですけど昔おばあちゃんちにあって。アニメのあのカット良かったですよね〜
南:あのカットはあれだけの動きのためだけにスーパーアニメーターに仕事振ったよね…!
岸:中学生の恥ずかしい所を詰め込んだ作品です!

◆作中のLINEについて
司:LINEは現場でその時決めたりしたんですか?
柿:実はLINEはほとんど内容を決めていました。現場に勝手にやらせないように責任を持つ形で。
柿:LINEの内容はネット上で公開しているものやお子さんのLINE等を参考にしました。特に名前の表記には苦労しました。
こ:EDのLINEの名前が違うのに気付きあれは誰なんだろう…と。最後の結末は知っていましたが、そこまでの内容を知らなくて。それで最終話を見たら「お前らかーー!」って(笑)
岸:仕掛けが欲しいという話だったのであんな風になった(笑)
こ:小笠原役の金子誠さんに「LINEには声当てないのか?」と聞かれたんですよね。
岸:そこが金子のモテないところだよ(暴言、モテていないかは不明)

◆参加者からの事前質問コーナー
(1)中学生で設定された理由は?⇨説明済みで割愛
(2)映像化されなかったキャラのその後は?(ヒロシさん)
こ:私は千夏がどうなったか気になります!千夏役の村川梨衣さんは最終話EDを見て「私はーーー!」ってでも千夏はいい恋愛をしていくと思う。
岸:千夏は高校に入って告白するより告白される側になると思う。モテると思うよ。でもね、あの子は他人の物が好きなんだよね。
司:茜のきなこもちソーダのアイスとかも食べてましたからね(笑)
岸:平和な日々を送っているだろうけど、茜や小太郎とは違う生活だろうね。あの2人は中学で付き合ってそのままだからね。そんなペア今どきいるの?って思ってたけど川越で知り合った方で既に2組が中学からの付き合いのペアが。川越はそういう土地柄なのかもしれないね
(3)サブタイトルはどうやって決めた?(ウエモリさん)
岸:各話のテーマは文学タイトルから取ってこようと。悩まずワンアイディアで、小太郎のキャラをフォローするものにしようと思って柿原さんに探してきてとお願いしました。
柿:これ視聴者知らないかもというのが候補に出てきたり、あとは新しすぎるパターンもあって没になったり。話とは関係なく文学っぽいイメージだけのものもありましたね。風立ちぬとか。
(4)2人の子供は男の子?女の子?(黒縁メガネさん)
岸:確か決めていたはず…
こ:えっ!?!?!?当時聞いていたのと違うんですけど!!!
岸:外注に発注するために決める必要があったんだよ。でも、ここでは言わないけどね。あとは視聴者の想像にお任せします。決めているけどね。
(5)川越のロケーションで画角やレイアウトをどうやって決めたのか?(ここっぷさん)
南:徹底して歩いたよね〜2015年4月から俺と岸さん、6月に柿原さんが加わって。候補地はいくつかある中で川越に初めて訪れたのは2016年1月か2月。すげー雪が降ってて、移動するならとりあえずチャリンコ?となって乗ったけど除雪されておらず全然進まなくて(笑)。でも、いっぱい通って「ここが絵になる」という所を探し、カメラを向けると絵になる所を調べ倒した!あとは、小太郎の移動範囲も限られるだろうからそういう所から範囲を絞っていった。
司:小原さんもよく川越に行かれているそうで
こ:川越という地名は知っていましたけど、いまだに一人で通っていて。
岸:雀会に入ってもうさ親戚のおっちゃんみたいだよ。あ、川越祭りが100周年なんだよ!最終日10/16の夜に見るのがイチバン!
こ:岸さんはどこにいても分かるので!
岸:川越といったらお祭りということもあってアニメでお祭りを描こうとなって。
南:お祭りは工数がかかるんだよ!

◆4人のサインが入った色紙プレゼント
⇨小原さんとジャンケンして勝ち残った人1名にプレゼント

◆挨拶
南:5年も経ったのに150人近くも集まってもらって考えられないほどありがたいことです。当時は実際にそうなったらいいなと思って作っていたのでそれが叶い感無量です。
柿:普段はなかなかステージに出ないのですが、今回をきっかけに他でも立つことになりました(笑)こうして5年経っても集まってくれる人たちがいるのは嬉しいことです。今回みたいに5周年のような節目の時にだけまた出ようかな(笑)
司:節目の機会をまた探しておきます!
岸:どれぐらい来てくれるだろうかと。5年も経った作品にどれだけ…?蓋を開けてみればほぼ満杯!心に残ってくれたのかと嬉しく思います。普遍的な中学生の思春期の恋愛を描いたことで20年、30年経っても風化せず見ても耐えられるような作品にできたと思うし、また節目節目で見ると見え方も変わるかもしれない。あとはぜひ、川越祭りにも来て下さい!
こ:最後の言葉をどうするか考えていましたが、私がこの作品を大事にしている理由はいくつかあり、初めて受かったこと、スタッフの皆さんはじめ仲が良いこと、そして想い出がいっぱい詰まっていることがあります。当時2016年の入ってすぐの頃、話が進んでいく中で途中で茜を演じるのがよくわからなくなって…どうやっていいかわからない…自分だけ浮いているということを岸監督にお伝えしたら、
「茜は小原さんなんだから、その時感じたかけ合いで音を出してごらん。・・・でも、うんで、あ、でもそれが茜になって正解になるから。気負うことはないよ」
と仰ってくださって、そうかと思い一生懸命演じました。その後の他の作品を重ねていくたびに色んな壁にぶつかりキャラごとの違いに悩んだんですが、そんな時に毎回岸さんの言葉が浮かんで迷ったら初心の時の声を聴いてどうやってもがきながら演じていたかを思い出して月がきれいを見ています。初々しい頃の声で恥ずかしい所もあるけど記録として残してもらっている事が幸せです。それをアニメを見たことがない人にもアニメが好きな人にも楽しんでもらえる稀な作品に中心となって出させていただいたことは本当に幸せな事です。また10周年の頃にお声がかったらありがたい事ですし皆さんと集まれる場があったらいいなと思います。本当にありがとうございました。

その他:終了後のお写真
https://twitter.com/couverture_info/status/1568796124504555521?s=21&t=oUQC-95A8U448UxucbR9HA

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